やはり変だぞNHKニュース~オリパラ・森発言・内閣支持率・・・世論調査の扱い恣意的過ぎ!?~

やはり変だぞNHKニュース~オリパラ・森発言・内閣支持率・・・世論調査の扱い恣意的過ぎ!?~(鈴木祐司) - 個人 - Yahoo!ニュース

 

NHKは10日、新年度の番組キャスターの変更を発表した。

 

クローズアップ現代+』は、武田真一アナウンサーから井上裕貴アナ・保里小百合アナの2人キャスター制となる。『ニュースウオッチ9』は、有馬嘉男キャスターから田中正良記者にバトンタッチされる

 

これらの中で、有馬キャスターの降板は「官邸の怒りをかった」などの報道が出たが、正籬聡放送総局長は「自主自律は生命線。誰かに何か言われたからということは一切ない」と疑惑を否定した。

 

人事については、確証で理不尽を証明するのは難しい。

ただし有馬キャスターを外したNHKのニュースについては、ファクトで偏向ぶりを示すことは可能だ。この半年、世論調査が恣意的に報道されているからだ。

 

何に納得できないか、明らかにしたい。

 

内閣支持率の伝えられ方

 

NHKが2月5~7日に行った2月の世論調査が、8日の『ニュース7』で放送された。

 

まずここで注目したいのは、月例の世論調査報道の扱い方。

 

 

例えば今回の調査では、内閣支持率は「支持」38%・「不支持」44%だった。1月は「支持」40%・「不支持」41%だったので、国民の菅内閣への不支持ぶりが増したことになる。ところが『ニュース7』では、その扱いがかなり小さくなっていた。

 

同ニュースはその日の主なニュースを6項目選ぶ。

オープニングからテロップで表示して、視聴者に目立つよう演出しているのである。ところが2月の世論調査は主要6項目から漏れた。そして内閣支持率が放送されたのは、始まって18分ほど経ってから。「平山郁夫などの偽版画流通」より後回しなので、よほど目立たせたくなかったと見える。

 

実は内閣支持率世論調査が、主なニュース6項目から漏れたのは1月調査も同じ。

「支持」40%・「不支持」41%と初めて「支持」を「不支持」が逆転した瞬間だった。ちなみに「支持」が「不支持」を大きく上回っていた時期は、世論調査は大々的に取り上げられていた。

 

9月のオーダーは台風に次ぎ2番手。

番組冒頭に示された主要6項目では3番目に置かれていた。10月のオーダー3番手、冒頭テロップでは4番目に示された。そして11月のオーダーが4番手など、12月までは主要ニュースとして扱われていたのである。

 

NHK報道のOBは、「世論調査の中でも、最も厳格に取り扱われるべき内閣支持率で、たとえ目立つ・目立たないの演出であっても、編集の中立性が疑われることは避けるべき」と憤りを隠さない。

 

五輪の調査はより恣意的!?

 

今月の世論調査内閣支持率以上に不可解だったのが、開幕まで半年を切った東京オリンピックパラリンピックについての調査だ。

「どのような形で開催すべきだと思うか」を聞いたところ、「これまでと同様に行う」が3%、「観客数を制限して行う」29%、「無観客で行う」23%、「中止する」38%となった。

 

 

ちなみに12月調査では、「東京オリンピックパラリンピックの開催についてどう思うか」と聞き、「開催すべき」が27%、「中止すべき」32%、「さらに延期すべき」31%だった。「中止すべき」が「開催すべき」を上回っていたのである。

 

さらに1月調査では、「開催すべき」が11ポイント減り16%、「中止すべき」と「さらに延期すべき」がいずれも7ポイント前後増え、「中止」38%と「延期」39%で77%になった。

 

2月の調査は、「開催」の合計が55%で、「中止」の38%を一挙に逆転した。

1か月前とはかけ離れた結果だったが、その謎を解くカギは質問にある。聞き方が全面的に変更されていたのである。

 

今回2月調査のポイントは3点。

①「IOC国際オリンピック委員会などは、開催を前提に準備を進めています。どのような形で開催すべきだと思うか?」と開催を前提にした聞き方になっていた。

②「開催」の選択肢を1つから3つに増やした。

③その一方で「さらに延期すべき」を選択肢からはずした。

 

同一のテーマで国民の意識を継続的に追う世論調査では、正しいデータを得るためにワーディングと言われる聞き方には細心の注意が必要だ。

ましてや聞き方の変更や選択肢の増減はもってのほか。世論調査ではなく、世論操作と疑われても仕方ない。

 

実はJOCの2021年カレンダーには、総会が3月10日からギリシャアテネで開催が予定となっている。

菅首相は、東京オリンピックパラリンピックは「人類が新型コロナに打ち勝った証し」として「世界中に希望と勇気をお届けできる大会を実現するとの決意の下、準備を進める」と施政方針演説で述べている。

開催国の世論が「中止」や「延期」が多数では、開催の障害になりかねないと考えていておかしくない。

 

ここでもNHK報道のOBは、「NHKは何故質問を大きく変更したのか。“忖度”と言われても仕方ない」と憤りを通り越して、嘆きを吐露していた。

 

森会長発言問題

 

今回2月の世論調査では、気になる点が他にもある。

東京オリンピックパラリンピック組織委員会の森会長が「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと発言し、大きな反響を呼んでいることについて、世論調査で聞いていないことだ。

 

NHKは世論調査について内閣支持や政党支持など、国民の政治意識を調べるとともに、社会的に関心の高い時事問題についての人々の考えを毎月定期的に調査していると標榜している。にもかかわらず、この質問がないのはなぜか。

 

読売新聞が全く同じ時期に行った世論調査では、しっかり質問項目に入れており、「問題がある」91%の回答を報道している。

これまた「忖度」との批判が出ても已むをえまい。

 

首相発言の「訂正」問題

 

最近のNHK報道の不可解な出来事は、世論調査以外にもある。

 

2021年1月4日、菅首相はコロナ禍に配慮して、伊勢神宮の参拝を取りやめ、年頭の記者会見を東京で午前11時から行った。記者会見はNHKがテレビ中継し、正午のニュースでも伝えた。

ここまでは、通常の伝え方である。しかし午後0時20分ローカルニュースの後、『うまいっ!絶品!大阪あいがも』という番組を飛ばして全国ニュースを延長した。

しかしニュースの内容は、不可解なことに菅首相年頭記者会見についての繰り返しだった。

 

この謎は翌日の朝刊で背景が裏付けられる。

菅首相はこの記者会見で、衆議院の解散時期について「秋のどこかで行わなければならない」と述べた。ところが会見終了後、首相官邸報道室を通じて「秋までのどこかで」と訂正が入った。

ほとんどの全国紙は「首相が発言訂正」と報じ、中には「本音が漏れた」と踏み込んだ新聞もあった。

 

ところが延長したニュースの部分では、元の首相発言の音声を敢えて使わず、初めから「訂正後」の発言が行われたかのようにアナウンサーのコメントで作り上げた。

しかもご丁寧に、官邸報道室が訂正した「秋までに」の文字テロップまで流して、「訂正」の事実を見えなくしたのである。

 

「事実の軽視であり、信頼を損なうことになりかねない」と、報道OBの絶望は留まるところをしらない。

 

NHK予算審議の頃

 

NHKは21年度予算の国会審議を控えている。

それまで5か月後となった去年11月、総務省の「公共放送の在り方に関する検討分科会」で、受信料の値下げなどNHKの経営改革が議論された。そして武田総務相の強い要請を受けて、1月13日に月額300円ほどに相当する値下げ案を示した。

 

携帯電話の通話料とNHK受信料の値下げは、菅政権発足後の強い意向だった。

そして議論が佳境に入るタイミングで、NHKの報道が不可解の度合いを深めていった。NHK改革議論での取引材料として、報道が忖度や配慮を重ねたと見られても仕方ない。

 

これでは公共放送としての「自主自立」「公平公正」もお題目に過ぎない。

しかも迷走を続ける中で、“組織崩壊”が視野に入り始めている。現場は具体的なニュースや番組の中で、本来の姿を堅持すべきだ。

そこを揺るがせ、視聴者の不信を招いている経営トップの責任は重いと言わざるを得ない。