旧優生保護法は違憲=国の賠償は認めず-強制不妊、初の司法判断・仙台地裁

 旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強制された宮城県の60代と70代の女性2人が国に計7150万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、仙台地裁は28日、旧法の違憲性を認めた上で「救済の在り方は立法府の裁量に一義的に委ねられる」として原告女性側の請求を棄却した。判決は全国7地裁で提起された一連の訴訟で初めて。
 中島基至裁判長は、旧法下で行われた優生手術は憲法13条が保障する幸福追求権から導かれる「子を産み育てるかどうかを意思決定する権利(リプロダクティブ権)」を侵害し、旧法の規定は無効だと指摘した。
 母体保護法に改定される1996年まで存続した旧法自体についても「法の存在そのものが被害者の幸福追求権などの権利行使の機会を妨げるものだった」と言及した。
 一方で、国内で現在に至るまでリプロダクティブ権に関する司法判断や憲法議論の蓄積がないと指摘。女性側が主張した優生手術の被害者への救済措置を怠り続けた政府と国会の「立法不作為」については「少なくとも現時点で救済措置の必要性が明白であったとは言えない」と結論付けた。
 旧法を巡っては、4月下旬に救済法が成立。手術の被害者に一律320万円の一時金が支払われる内容が盛り込まれた。

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2019年05月28日火曜日