安倍政権のコロナ経済対策、ことごとく「中途半端」であり続けるワケ
安倍政権のコロナ経済対策、ことごとく「中途半端」であり続けるワケ
新型コロナウイルスの感染拡大を受け緊急事態宣言を発令したにもかかわらず、政府は特定の事業者への休業要請には及び腰だ。
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都道府県単位で休業要請を進める流れがようやく出たが、西村康稔経済再生相は「休業要請は必要最小限に」するべきだとの姿勢を崩さない。
経済への影響や補償の問題を懸念してのことだが、スピード感を欠いた対応に批判も出ている。特に休業要請に関しては、政府と自治体とで足並みが揃っていないように見える。なぜ政府ははっきりとした態度を取れないのか。
こうなってしまった原因は、やはり休業要請にともなう補償方法の整備が進まないからだろう。休業要請を出すことができれば、経済活動の休止を短期間にとどめ、経済への悪影響を軽減できると筆者は考える。
ところが、休業補償が受けられないとなれば、背に腹は替えられない一部の企業や商店は休業せずに、ズルズルと営業を続け、結果的に感染を拡大する可能性が高い。そうなると、経済活動はますます低下する。
つまり、「経済に悪影響が出るから」という理由で休業要請しないのは、まったく理に適っていない。少し考えればわかることなのだが、「財政破綻論者」たちには理解できないようだ。
かつて安倍政権で補佐官を務めた自民党の元議員は、「全額休業補償をすれば、国は、財政破綻します。国名を挙げれば失礼ですが、イタリアと同じような状況になります。それは、医療崩壊へとつながるのです」と述べた。
まさに財務省の「緊縮財政病」に罹っていると言えよう。与野党を問わず、財政破綻論から脱却できない国会議員は多い。野党第一党でありながら、コロナ対策として消費税減税をはっきり言い出せない立憲民主党は、明らかに緊縮財政を指向している。
消費税軽減税率という毒まんじゅうを食った新聞も、財務省に抵抗できずに、緊縮財政にエールを送っている始末だ。こうした有事に知恵を働かせてほしい学者たちも例外ではない。あるマクロ経済学の第一人者は、コロナ対策で必要なのは増税だと発言して、みんなを唖然とさせた。
財界も同じだ。消費増税のかわりに、財務省から社会保険料の据え置きや法人税減税というニンジンをぶら下げられ、財務省の味方になっている。だから財界も、休業要請に対して前向きな議論をしようとしない。
考えてみれば、政府は経済支援策として消費税減税をいっさい口にしていない。言わずに済んでいると見ることもできる。
緊急経済対策の規模は、正直言って心許ない。事業費108兆円とは言うものの、GDP押し上げに効果のある「真水」は、正確に計算すれば20兆円程度にすぎない。